プロフィール
林 英哲(はやしえいてつ)
太鼓奏者
広島県生まれ。11年間のグループ活動後、82年太鼓独奏者として活動を開始。84年初の和太鼓ソリストとしてカーネギー・ホールにデビュー。現代音楽の分野でも前例のない和太鼓ソリストとして国際的に高い評価を得た。00年にはドイツ・ワルトビューネでベルリン・フィルと共演、2万人を超える聴衆を圧倒させた。太鼓独奏者としてロック、ジャズ、現代音楽、民族音楽などの演奏家と共演しながら、かつての日本の伝統にはなかったテクニックと体力を要する大太鼓のソロ奏法の創造、多種多様な太鼓群を用いた独自奏法の創作などジャンルを超越した、まったくオリジナルな太鼓表現を築きあげていく。
98年からは新たなステージとして、林 英哲自身が刺激を受けた芸術家の作品や生き方をテーマに、太鼓ドラマともいうべき劇的舞台作品の創作を始め、コンサートツアーもスタート。「万零」(マン・レイ)、「若冲の翼」(伊藤若冲)、「光を蒔く人」(高島野十郎)、「澪の蓮」(浅川巧)、そして「レオナールわれに羽賜べ」(藤田嗣治)と全国各地で開催。このステージは、国内はもとより海外でも評判を得る。07年ソロ活動25周年記念コンサートを東京(サントリーホール/東京交響楽団)関西(兵庫芸術文化センター/大阪センチュリー交響楽団)にて全曲太鼓協奏曲(指揮:岩村力)で企画構成・初演、絶賛を博す。このライブ録音アルバム『GREAT ENCOUNTER Eitetsu HAYASHI With Orchestra』や、オリジナルアルバム『光年の歌』を08年リリース。また、国立劇場の委嘱による三年がかりの「千響」シリーズ三部作のプロデュース、構成・出演を完結させた。10年12月、サントリーホールで、太鼓ソロ中心のコンサート「月山」から11年振りに「月山Ⅱ」を開催、大絶賛を博す。11年にライブDVD『月山』、『月山Ⅱ』2枚同時発売。
12年の演奏活動40周年記念4日間連続公演「五輪具」は、近年の舞台コンセプトである林 英哲と英哲風雲の会メンバーのみで、なおかつ太鼓のみでの表現を追求した集大成の舞台となり、満員の聴衆の大絶賛を博し、同内容のアンコール公演「七つの輪具」をサントリーホール他、各地で実施した。また13年秋からは、世田谷パブリックシアター提携公演(「迷宮の鼓美術少年」4日間連続公演)を皮切りに、この新たな劇的舞台作品を持って「林 英哲コンサートツアー・スペシャル」が開催された。15年1月からは「林 英哲コンサートスペシャル『英哲 音楽会(おんがくえ)』」を実施。世田谷パブリックシアター連続公演を含み6都市9公演が実現。
海外のオーケストラからのソリストとしての招聘なども多く、シドニーシンフォニー、モントリオール交響楽団、香港フィルハーモニー、ウイーン・トーンキュンストラー管弦楽団、中部ドイツ放送交響楽団(MDR)などと共演。04年~06年にはオハイオ・アーツ・カウンシルの招聘による「林 英哲Taiko/アーティスト・イン・レジデンス・プロジェクト」(3年間で10回以上渡米、滞在型の指導や交流・作品発表など)を実施、また外務省・国際交流基金等からの国際友好・交流年のための現代日本文化紹介の大型派遣も多く、06年「豪州ツアー」、12年「中東4カ国ツアー」、2014年度文化交流使の任命を文化庁から受けて「カリブ海・北米ツアー」などで1ヶ月以上の長期ツアー<EITETSU HAYASHI with FU-UN no KAI in Concert “NATURE’S RHYTHM”>も実施。15年2月から3月にかけては「早稲田大学交響楽団欧州ツアー2015」において『モノプリズム』(作曲:石井眞木)へのスペシャルゲストとして英哲風雲の会のメンバー6名を率いて参加。3カ国12都市12公演を大盛況の内に終了。中でもベルリン(会場:フィルハーモニーホール)とパリ(会場:シャンゼリゼ劇場)での公演はインターネットでのライブ映像が配信され世界中で視聴された。(18年にも早稲オケ欧州ツアー2018において2カ国12都市10公演で「モノプリズム」に再び参加)
16年2月、フランス最大のクラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ2016」にはじめて招聘されオーケストラのソリストとして『飛天遊』、英哲風雲の会を率いて『澪の蓮』など5公演をナントで行い、連日満員の聴衆からスタンディングオベーションを受けた。その後、毎年フランス、東京の「ラ・フォル・ジュルネ」に参加。
近年は和・洋器楽奏者や伝統芸能の歌舞伎役者、日本舞踊家やプリンシパルなど、気鋭の若手との共演も多く「太鼓音楽」の魅力を提示し続け、国内外での活動は速度を増して縦横無尽にますます活躍のフィールドを広げている。16年11月、演奏活動45周年(71年~)、17年10月ソロ活動35周年(82年~)の記念公演をサントリーホールで実施、現在でも後進の指導や国際的に広がる太鼓の、子ども達に向けての指導(「英哲メソッド」の基礎)なども行いながら、なお精力的に減益の演奏家として太鼓音楽の可能性を追求し続けている。
演奏活動の他、イベント等でプロデューサー、映画、演劇などの音楽、創作太鼓の委嘱作品、指導も多数。エッセイ等の執筆も多く、著書『あしたの太鼓打ちへ』の第2弾、『林 英哲 太鼓日月』を12年に講談社より発売。17年にはソロ活動35周年を記念して、発売後20年間ロングセラーを続けた晶文社版『あしたの太鼓打ちへ』(12年廃刊)を5年ぶりに増補新装版(羽鳥書店刊)として発売。
97年芸術選奨文部大臣賞を受賞、01年日本伝統文化振興賞を受賞。17年第8回松尾芸能賞の大賞を演奏家では初めて受賞。04年より洗足学園音楽大学の客員教授に就任(15年3月退任)。05年より東京藝術大学で年一回特別講座『劇場芸術論』を実施、15年4月よりは東京藝術大学客員教授に就任。09年よりは筑波大学大学院でも年一回特別講座開講。
(※他、各年代の打歴参照)